「売って下さい」のうざいDMはなぜ来る?

個人情報が漏れているのでは?

不動産を所有されている方のもとには、不動産会社からのDMが頻繁に届くと思います。
書いてあることは「売りませんか?」「売って下さい」「高価買取」などなど・・
分譲マンションにお住まいの場合は、郵便受けに「これでもか」というくらい売却のチラシがポスティングされますね。そんな予定がない大多数の方にとって、本当に大迷惑な話です。
ところで、DMの宛先を見て、何で私が所有者だと知っているの?と素朴に疑問に思ったことはありませんか?
ご本人がそこに住んでいる場合はもちろん、空き家だったり賃貸に出している場合には、そこには居ない家主さま宛にもご丁寧にDMが届きます。
どこかで個人情報が漏れて、悪徳業者に渡っているのでしょうか?
昨今、残念ながらその可能性がゼロとは言えませんが、ほとんどの場合はそうではありません。
このようなDMは、不動産登記の情報から所有者を確認して送られてきます。
え?登記ってそんなことが載っているの?そもそも誰でも見られるの?と驚いている方、いませんか?
直近で不動産を購入した方は別にして、長年お住まいの住宅だと、ご自身が持っている不動産の登記簿を見たことがないという方も結構多いかもしれませんね。

法務局が管轄している登記の写しは、手数料さえ払えば誰でも取得できます。
登記の記載事項を用いて営業するという行為は、本来の登記制度の目的にはまったく合致していませんが、違法行為ではありません。
ではそこには何が記載されているのでしょうか?ざっくり言うと次の3つです。
1.その不動産の概要(所在地や面積など)
2.誰が持っているのか(氏名、住所、いつどのような手段で取得したか)
3.住宅ローンなどがある場合は第三者が設定した抵当権などの権利(金融機関の名前、借入金の金額)
これだけでも結構な情報量ですが、更に付け加えると、登記は現在の情報だけでなく、過去の情報も遡って見ることができます。
例えば、何度も売買が繰り返された物件なら、過去にどのような人がその物件に携わっていたのか、容易に辿ることも可能です。

本来の登記制度の目的とは?

このような、一見すると個人情報ダダ漏れのような登記制度。では、何のために登記するのでしょうか?
筆者は法学者ではありませんので、ポイントだけをお伝えすることになりますが、一言で言うと、権利を持っていない別人が、その不動産を勝手に売ったり勝手に貸したりしないように予防するためです。
ある日突然、見ず知らずの方が貴方の自宅を訪ねてきて「この家を買ったから退去して下さい」と言われたら、貴方は論理的にどうやって言い返しますか?
また、売買をする時に高額の代金を支払う買主にとって、相手が本当に所有権を持っている売主かどうか、どうやって確認すればいいのでしょうか?
このような時に登記が役に立ちます。所有者が知らないところで売買が勝手になされた場合、所有者は登記を主張して売買を無効にさせることができますし、買主にしてみると登記を確認することで相手が詐欺師ではないと確認し、安心して売買に臨むことができます。
登記は「対抗要件」とも呼ばれます。
つまり、本当の所有者が誰なのか、所有権以外に抵当権などの第三者の権利が設定されているかなど、登記してあればその権利が保護されます。逆に登記していない場合は、ニセの所有者から不動産を購入した人に対して、私が所有者ですと主張することが難しくなってしまいます。
それゆえ、法務局が登記を受付ける際には、権利証(現在は登記識別情報というものに変更)や、本人であることが確認できる書類など、様々なものを用意しなければなりません。

登記制度が始まった頃には、このような記載事項が営業行為に使われることを想定していなかったかもしれません。が、かと言って制度を無くしてしまったらそれも大混乱になることでしょう。
利用使途の制限でもできるといいのですが、なかなか上手くいかないものですね。