買取り保証って何?メリットとデメリットとは?
2021.12.15
マンションや不動産を売却する時の代表的な手法は「仲介」または「買取り」のいずれかです。
仲介とは、不動産会社が売主様から売却の営業を委任いただいて、一般の市場で購入希望のお客さまを募集して売買をマッチングする方法。
一方で買取りとは、お話をいただいた不動産会社自身が買主となって、売主様から対象物件を直に買い受けて、代金をお支払いする方法です。
この2つを比較すると、売却するスピードや確実性は買取りの方が優れていますが、売却価格については仲介に軍配が上がります。
ですから、大急ぎで売る必要に迫られていない限り、少しでも高く売りたいと思うのが自然なので、多くの不動産売買は仲介によって行われています。
ただ、仲介の場合はいつ売れるかは分からず、いつまでたっても売れない可能性も全くない訳ではありません。
そこで、こうしたリスクを解消するための売却方法として、このコラムのテーマである「買取り保証」というサービスがあります。
◆◆仲介と買取のいいところ取り?◆◆
買取り保証での売り方を簡単に説明すると、最初は仲介によって一般市場での高額の売却を目指して営業し、もし一定の期間内(6ヶ月程度)で売れなければ不動産会社による買取りに切り替わり、約定していた金額で必ず売却されるというものです。
従って、仲介での売却を選択しつつも、いつになったら売れるか分からないという不安要素を、あらかじめ払拭することができます。
このサービスでは、売却営業の前半では仲介のメリット、後半では買取りのメリットを享受する仕組みになっているので、一見すると両者のいいところ取りをしている、売主様の立場に寄り添った完璧なサービスに見えます。
ただ、不動産会社も営利企業として存在している以上、お客様のリスクが減る分を、身代わりになってボランティア精神で負える訳ではありません。
このサービスのカラクリはどうなっているのでしょうか?
◆◆買取り保証を使う時の留意点◆◆
買取り保証サービスにおいて、不動産会社側がリスクを軽減させる方法は、いくつかあります。
これを知っておけば、買取り保証が売主様にとってメリットばかりとは言えず、ケースバイケースで選択するべきということをご理解いただけるでしょう。
1.買取り保証サービスでの買取り額は、通常の買取り額より低い。
不動産会社が買取りを行う時の価格は、相場水準の7割程度になるのが一般的です。
その理由は、不動産会社は買い取ったマンション等に手を加えて商品化し、再度売り出す(転売する)ことが多いのですが、その間の手間や様々な経費、買取り資金の調達コスト、予定通りに売れないリスクなどを勘案したうえで、更に利益を得なければならないからです。
ただ、これはあくまで最初から買取りで話をしていた場合のこと。
買取り保証では、仲介によって市場で売ってみたものの売れなかったという「負の実績」が付いた後の買取りなので、通常の買取りより更に低い価格での買取りになってしまいます。
これによって、不動産会社としては再販価格を値下げすることが可能になるので、長期在庫になってしまうリスクを緩和できます。
2.仲介での営業に力が入らなくなる。
売主様と結ぶ契約の条件次第ですが、不動産会社にとって仲介で売却せずに買取りった方が利益が大きいと判断されると、敢えて仲介の営業を頑張る必要性がなくなってしまう場合があります。
もちろん、これはお客さまへの背信的な姿勢なので表には決して出しませんが、仲介で得られる仲介手数料と、買い取った物件を再販して得られる売買差益を比較するのは、営利企業としては当然のこととも言えます。
従って、売主様の立場としては、不動産会社にいかに仲介営業をしっかりやらせるかが重要なポイントであり、不動産会社が一方的に描いて示してきた買取り保証の条件を、深く検討せずに了解するべきではありません。
◆◆買取り保証サービスを提供している不動産会社は限定的◆◆
上記のような理由から、買取り保証サービスを使う時には、物件の特性(売りやすさ/売りにくさ)や譲れない価格の下限をよく考えて、利用するべきか、慎重に判断すると良いでしょう。
仲介での営業で売れなかった後になって、買取り価格の異様な安さに気が付いても、中止するには解約金が必要になってしまいます。
所定の売却代金を得るどころか、これでは貴重な時間とお金の無駄遣いです。
実は、不動産業界では、売買のメニューとして買取り保証サービスを提供している会社は、有名大手を含めた一部の会社に留まります。
もし利用するかどうか悩んだ場合は、買取り保証サービスを提供していない中立的な立場の不動産会社に相談して、セカンドオピニオンを取ってみるのも有益です。
貴方のマンション売却が成功と言える結果を迎えられますよう、お祈りしています!