不動産価格が上昇している時の買い替えの注意点
2021.12.24
新型コロナウィルスが問題になってから、2年近くが経過しました。
コロナ禍の下での神奈川県・横浜市の不動産価格の相場動向を見ると、商業地では大幅に下落している一方で、マンションや住宅の価格は堅調で、上昇しているエリアも多々見られます。
このような相場の状況から「今が売り時!」「驚くほど高額!」と、売却を煽る広告を、最近特によく見かけるようになりました。
確かに、いずれ処分するべき不動産をいつ売るか決めかねていた方にとっては、高く売れる可能性があるので、悪い話ではないと思います。
ただ、必ずしも売却を迫られている訳ではない方にも、同様に「売り時」と言ってよいのでしょうか?
中でも「買い替え」を前提とする場合は、広告の甘言に踊らされないよう、十分に考えてから行動しましょう。
◆◆中古マンションの価格が上がる理由◆◆
マンションや不動産の価格は、世の中全体の景気(マクロ経済)の影響を受けるのはもちろんですが、必ずしもこれに連動せず、不動産固有の需要や事情によって変動することも、しばしばです。
現在の都市部のマンションや住宅の価格の上昇は、まさに後者に該当すると思います。
コロナ禍の影響で、実態の景況感は厳しい状況にありますが、在宅時間が長くなりリモートワークの方も増加しているため、住宅購入の需要が明らかに増加しています。
ところが、適当な中古マンション等を保有している方にとっては、今は生活スタイルを変える決断をしにくい状況。
その結果、購入の希望に対して売り物件が相対的に不足気味で、マンション等の住宅価格が上昇しやすい条件となりました。
また、コロナ問題が起きる前から、都心の地価の上昇や建築資材の高騰、人手不足による人件費の上昇等により、新築マンションの分譲価格が上昇傾向でした。
新築マンションの価格が上がると、それに連れて近隣の中古マンションの価格にも影響が波及していきます。
コロナ禍で、新築マンションの供給が一時的に停止したことも、価格を押し上げる要因になりました。
◆◆引越し先があるなら売却はお勧め◆◆
例えば、近所に実家があっていつでも引越しできたり、セカンドハウスを持っているような場合など、すでに別の家が確保されているなら、今住んでいるマンション等が予想より高く売れるなら、素直に喜んでいいのではないでしょうか。
一方で、そのような別宅がある訳ではなく、売却したら買い替えが必要になる場合は、高く売れる時には、購入したい住宅の価格も同様に高くなっていると、認識しておかなければなりません。
当然と言えば当然ですが、同じエリア内の不動産なら、今貴方が住んでいるマンションの値段だけが特異的に上がっている訳ではなく、他の物件だって高くなっていると考えるべきです。
高く売れたら、売却代金を原資にして今より一回り大きな家に引っ越したい・・
お気持ちは分かりますが、それほど都合よく行くものではなく、単純に捉え過ぎない方がいいでしょう。
いくら高く売れたとしても、買い替える物件も同様に高ければ、経済的なメリットは実質的に帳消しになってしまいます。
◆◆買い替え先の選択で気を付けること◆◆
今の自宅が高く売れて、あまり価格が上がっていない住宅、言い換えればお買い得な住宅に買い替えることができれば、経済的には理想です。
では、あまり価格が上がっていない住宅を、どのように確保すればいいのでしょうか?
方法は2つ考えられます。
1つは買い替える住宅のエリアを変えること。
昨今の住宅価格は、横浜市内でも値段が上がっているエリア、あまり変わらないエリア、むしろ下がっているエリアがまだら模様に混在しており、すべての不動産の価格が同様に変動している訳ではありません。
統計等を参考にして、価格があまり上がっていないエリアで売出し中の住宅を探せば、適当な価格の物件が見つかる可能性があります。
ただ、注意したいのは、今価格が上昇していないエリアでは、将来的な資産価値にも大きな期待はしない方がいいという点です。
一般論ではありますが、人口減少等で不動産価値の二極化が今後も進むと予想されており、不動産の価格が上がることをアテにしたライフプランを作ると、大変危険です。
◆◆やはり買い替えは慎重に◆◆
もう1つの方法は、買い替える時期をずらすこと。
売却後に一時的に賃貸住宅に引越して仮住まいとし、不動産価格の動向を見ながら、買いやすい価格水準に落ち着くまで待って購入するという方法もあります。
ただ、この場合は「買いやすい価格水準」にいつなるのか誰も予想できず、ひょっとするとずっと来ない(購入したいエリアの不動産価格が下がらない)かもしれません。
従って、もし買い替えの期限が決まっているような事情があると、かえって窮屈な状況に追い込まれてしまう懸念もあるので、ご注意ください。
いずれにしても、投資が目的の不動産なら、売却して利益を得たら手仕舞いにすることも可能ですが、ご自身やご家族が居住するための実需のマンション・住宅については、高く売って終了、ではありません。
ご自宅の買い替えは簡単ではなく、必要性や優先するべきことを踏まえて、慎重に判断されると。
売却や買い替えをどうするべきか迷ってしまった時には、信頼できる専門の不動産会社にご相談ください。